基礎編
1.雨


「天気」といえば、何といっても気になるのは雨なのだ。天気予報なんかでも視聴者の殆どは「雨が降るか降らないか」だけを気にしている、といってよいだろう。雨の予報だと「ま、あてにならないけどね。」なんて言いながらしっかり気にしてしまうのは、雑誌の星占いのノリに近いといえるかもしれない。


1.雨が降るための要素
実は「雲ができるための要素」を述べて代用する。雲ができれば必ず雨が降 るわけではないが、実用上これで十分なのだ。あまりごちゃごちゃ知ってい ても予想が飛躍的に正確になるわけではない、というのは天気予報で証明さ れている。まず、

雲ができるには水蒸気と上昇流の両方が必要
と覚えておく。ついでに、これからは

水蒸気=湿った空気=暖かい空気=海方向からの風
と考えるようにする。これは気象学独特の考え方なのだ。

水蒸気ははるか海上から「湿った空気」として風で運ばれてくる(大きな湖などが近くにある場合も多少の影響がある)。また、水蒸気=暖かい空気というのは考えにくいかもしれないが、たとえば熱が出たら汗をかくようなもんだ、とでも思っていればいいのだ。

上昇流というのは真上に向かって吹いている風というイメージだが、風というほどはっきりしたものではなく、もっとのんびりしたものである。発生の原因はいろいろだが、斜面に風が当たればそれだけで発生するので、
上昇流は山にはつきもの
といえる。 このことは以下のように使う。上昇流が平地で「なし」でも山では「あり」、平地で「あり」なら山では「強い」。 さて、上昇流についてはもう一つ、
強い上昇流は背の高い雲をつくる
と覚えておこう。背の高い雲は誰もが嫌うカミナリのもとだからである。

*雲のできかた
湿った空気のかたまりははじめ上昇流で勢いをつけられ上昇していく。周りの気温より高くなるところまでくると、暖かい空気というのは冷たい空気より軽いため自然に上昇していき、冷やされて雲となる。
中学で習うらしいが、はたして中学生がこんなことを知って何になるのか 。


2.大雨と強雨
雨といっても風流に「濡れていこう」で済まされるものから、行動できないよ うなひどいものまで様々。ここでは危険な「大雨」と「強雨」について説明しておく。混同しないように。
大雨とは持続的なもので、延べ雨量として多いものである。予報でも捉えやすいので、沢筋などに入らないようにする。停滞前線や上空の寒気があるときに起こりやすい。
強雨とは短時間(1〜3時間程度)に激しく降るものである。雲の背が高い場合に起こり(後で述べるがこのテのものは「可能性」としてしか予想できないので困る)、雷・突風を伴うこともあり要注意である。これらに関しては
雲の大きさ=雨の量
雲の背の高さ=雨の激しさ

と考えると良い。


3.四季の雨(雪)
雨の降り方は季節によって特徴がある。通年でみると低気圧によるものが多 いが、その他の特徴的なものを挙げてみた。

2・3月は本州の南岸を進む低気圧によって、太平洋側の山地に雪が 降り、4月上旬は「なたね梅雨」といってぐずついた天気が続く。この頃は登山者が少なく静かな山が楽しめるが、雪の多い山では緩んだ雪にハマって脱出不能となり、泣きたくなることもある。

梅雨
梅雨前線がどっかりと居座り、主に前線付近と南側で降る。末期 には低気圧とのコンビで集中豪雨になることもあるので注意したい。珍しいキタダケソウの時期なので悪天候をおして行くのはいいが、見つからないとキタダケソンということになる。


直射日光の強い日の午後の夕立ちはお馴染み、山ではヒジョーに怖 い。「雷はどうやって避けるのですか」という質問が多いのだが、それは電気屋さんに聞いて下さい。


9月中旬頃は「秋霖」「秋雨」といわれるミ二梅雨で、しとしと雨が 続く。きまぐれに台風もやってくる。誰もが天気予報を気にしながら山行計画を立て、週間天気予報のイイ加減さに激怒する。


日本海からやってくる「すじ状の雲」によって、上越や北アルプスな どはとてつもない量の雪が降る。中国山地なども侮れない。日本海を進む低気圧が来るとまたそのせいで降るので、雪の量は増える一方である。しかし、山ヤはここぞとばかり喜び勇んで出掛けるので家族の心労が溜まる。




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