実践編

3.行動場所によって気象は違うのだ。


地形が気象に大きな影響を与える、ということは先にも延べたが、山というのはさらに地形が複雑であるから細かい区分が必要になってくる。


1.山麓
ここで言う「山麓」とは標高1000m以下ということにしておく。この付近では、ほぼTV天気予報の当該予報区の天気に沿う。山麓より上の天気の方が良いということは(同一時刻で)無いように感じるかもしれないが、そんなことはない。逆転層の関係で起こり得るし、割と多い。これを読み切るには雲の高さを知ることがカギとなる。低い雲で下界が悪天になっているパターン、たとえばオホーツク海高気圧の北東気流によるものなどを知っているとよい。


2.尾根すじ(樹林帯)
稜線で強風が吹き荒れていようと,樹林帯ではほとんど風が吹かないから安心であるが、空が見えず天気の動向が判りにくいので、いざ樹林帯を抜けるときは同じ気持ちでいてはよろしくないのである。また、樹林帯でかなりの悪天の場合(風、雨)、森林限界上ではとんでもないことになっていると考えるのが普通である。尾根筋では落雷の危険もあるので、雷鳴を聞いたら要注意である。また、ガスが出やすい場所もあるので道に迷わないように気を付けたい。


3.谷
落雷の危険は比較的少ないが、水は電気を通すので感電する可能性もあるから注意が必要である。しかし、とにかく注意すべきは雨である。沢などではいきなり鉄砲水が出たり、枯れ沢がいきなり川となって徒渉が必要になったり、橋が流されるなど、進退極まる場合がある。また、地盤が緩んで落石も多くなる。沢登りに限らず、谷沿いの登山道も注意が必要なのである。


4.森林限界上
足元に雲海を見て快晴の稜線を歩くのは山の醍醐味である。しかし、それと引き換えにいったん天候が崩れると、風・雨は樹林帯とは比べ物にならない強さになる。風が強いということは体感温度がかなり下がる。落雷もしやすく、しかも防御のしようが殆ど無いのだ。ただ、観天望気はしやすいので、うまく利用してで慎重な行動を心がけるようにしたい。また、冬季は晴天でもかなりの強さの西風が吹くのが当たり前であるが、局地的に特に強い場所は雪煙が上がっていることで確認できる。




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