基礎編
3.気温


山行前の準備で衣類の選択は重要なポイントである。それには当然気温が関わってくるが、「気温」と「体感温度」は区別して考えねばならない。気温が高くても体が感じる温度が低いということはありえる。風が強いときなどがそうだ。衣類の選択に重要なのは体感温度であるのは言うまでもないが、「昼の平均的な気温」で通常の行動着を「最低気温、予想される風の強さ」で防寒着を考えたいものだ。ナニ、当たり前だって?違う違う、自分の話。ワタクシの場合は洗濯された時期、カビが生えていないか等で否応なく決定されるのである。


1.山はどのくらい寒い?
はっきり言って、山は平地より寒い。ただし、「寒い」とは抽象的な言い方 なので、ここではっきりさせておく。

気温は100m高度を上げる毎に0.6℃下がる
と言われている。まあ、現実にはそううまくはいかないのだが、ある程度の目安にはなる。この計算でいくと少なくとも平地より寒いことになる。

おおざっぱではあるが、山の気温を計算するには標高に0.6をかけて、なるべく近い平野部の都市(長野、甲府などは既に標高が高かったり特徴的な気候を示す場合もあるので、東京、名古屋、大阪などを選ぶ)の気温から引く。たとえば槍ヶ岳山頂(3180m)付近の気温を概算するには、名古屋の気温が26℃であれば、3000×0.6 =18 これを26から引いて 26−18=8(℃)となる。

しかも
山岳では放射冷却が起こりやすく晴れた朝は冷え込む
昼夜の気温差は平野部より大きいのである。それを考えれば最低気温も大体予想できるだろう。そして

風速が1m増す毎に体感温度は1℃下がる
ひやあ、分かった、分かった、「かなり」寒いのであるな。

2.低温は敵か?
「低温」と言うとイメージは悪い。大体「低」とか「減」といった字はそれ だけで良くないイメージを与えてしまうものだ。しかし「低カロリー」とくれば半数以上の人々が「お?」と思うであろうし、「減税」となれば一部の人々を除けば万々歳となるのだ。すかさず「低温」に話を移すのだが、「低 温熟成がなんたらかんたらで…」と言われたら、よく分からないながらもウ マそうな気がしてきませんか?さあどうだ、さあ!と、この本能的に「いやだ」と思ってしまうも のにもいいところはあるんよ、ということをとりあえず強調しておきつつ、じつはその逆を導きたいのである。

高温こそ悪天の前兆
「え?あのやさしかったおじさまが…。」というシーンが浮かんできそうで ある。しかし真実はそうなのですよお嬢さん、と明智小五郎風に解説する。

高温といってもその時々に応じた相対的なものなのですが、以下のことが考えられるのであります。

南風が入っている可能性が高く、雲ができやすい。

低気圧に関連している場合、数時間後には寒冷前線が通過する可能性がある。

夏の場合、背の高い雲ができやすい。

悪天という意味ではないが、雪があるときは雪崩の可能性が出てくる。

というわけです。やい、これでもしらをきろうってのかい、ええ?
「明智先生、それは遠山の金さんです。」
おっといけねえ、そうだったね小林君。




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