今月のお天気

9から10月
キーワード 秋雨前線による豪雨(予定変更しました)

秋の天気の特徴は「変わりやすい」こと、とよく言われます。これは1日の中で天気がコロコロと変わっていく、ということでしょうが、もっと大きな単位で考えてみましょう。天候を支配するものには冬のシベリア高気圧、夏の太平洋高気圧などがありますが、冬や夏などはとりあえずこれらの動きに注意していれば良いわけです。ところが9月から10月にかけては天候を支配するものが次々に変わっていくのです。秋雨前線、移動性高気圧、台風などなどです。これらによって天気の予想の仕方が全く異なりますので、天気を知りたい時間帯にどの影響を受けるのかを知っておくことが大切です。さて、98年は各地で大雨の被害が相次いでいます。これに関係する内容について書いていきましょう。

98年秋の気象状況というと、台風が連続して日本にやってきたことを思い浮かべる方も多いでしょうが、台風のときの大雨災害の直接原因は秋雨前線でした。また、その後の四国・近畿地方の大雨も秋雨前線によるものです。例年九州地方や北陸地方が梅雨の末期に 大雨に見舞われますが、今年はそれがありませんでした。その帳尻合わせというカンジがしなくもありません。これは非科学的な考えではなく、様々な要因からなるべくしてなった、と言えなくもないでしょう。また、あのような被害が出たのは、この季節にあのような大雨が降ったことが少ない地域だったから、とも言えるのではないでしょうか。
左の図は1982年の台風18号のときの台風と秋雨前線の位置関係です。このときもまず秋雨前線の雲による大雨、続いて台風本体による大雨、と2段階の大雨で大きな被害が出ました。このパターンは頭に入れておいた方がいいでしょう。


前線による雨が降った後、本体の雨が降るまでは一旦天候は落ち着きます。場合によっては晴れ間さえ出るかもしれません。しかし、これにだまされてはいけません。
ところで、このように2段階で悪天になるパターンというのは他にもあります。山で恐いのはこういったパターンを知らずに、小康状態(中休み)となっているとき「これで天気が快復する」勘違いしてしまうことです。低気圧に関する温暖前線の通過が良い例です。数時間後に寒冷前線が通過することを知らないととんでもないことになるかもしれません。冬などは特にそうです。また、日本海低気圧と南岸低気圧が一緒に(二つ玉低気圧という)通過していくとき、現在の悪天はどちらの低気圧のどの前線によるものか判断しなければなりません。吹雪いて閉じ込められているとき、どの一瞬をついて脱出するかは天候判断にかかっているのです。

悪天2段攻撃パターンの例
温暖前線の悪天と寒冷前線の悪天
日本海低気圧の寒冷前線の悪天と強い西風(北アルプス・上越などでは吹雪)
台風通過とフェーン現象

ということで、これは山の天気では最も重要なことですが
「晴れ間が出てもそのまま快復するとは限らない!」

常に、その原因となっている低気圧、高気圧、前線などの状況を考えるようにしましょう。第2弾がすぐにやってくる場合があります。
え?考えるのは面倒ですか。では

「山で大雨・大風・雷は当然。どっからでもこい!」
こう自分に言い聞かせてください。

次回は「冬の訪れ」の予定です。




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