今月のお天気

8月
キーワード 台風(今回は夏の台風中心に述べます)

台風が直撃すると思われる山岳地帯への山行は中止するのが普通ですね。しかし、影響が出るかどうか微妙な場合が多いと思います。
さて、数日先の台風の進路は予想されにくいですが、その理由としては低気圧などの人生は全体の大きな流れに支配されているのに対し、台風というのはどちらかというと一匹狼的に勝手な人生を送っていると考えてみましょう。日本付近での進路は上空のジェット気流の位置や太平洋高気圧の位置などに左右されます。よって台風がそれらの影響を受ける位置に来てしまえば進路等の予想はつきますが、それまでの動きが予想できないのですから、どうにもなりません。結局は近づいてこないと判らない、というのはご承知の通りです。今回は、予報をどのあたりから信頼するか、という点と、近づいてきたときの影響について述べることにします。

台風が接近してくるとまず、スパイラルバンドという部分による影響が出てきます(左図)。台風は反時計周りに回転していますので、それに伴いこのスパイラルバンドも動きます。スパイラルバンドは積乱雲の列です。断続的な強雨、突風(図A)が特徴で、合い間には晴れ間(図B)が出たりします。これを台風本体と勘違いしてはいけません。もっと強力な本体はこれからやってきます。また当然ながら、晴れ間が出るからといって快復に向かっていると考えてはいけません。また、上空に寒気がある場合はスパイラルバンドの方が本体より強力になる場合もあります。台風は中心付近だけが恐いのではありません


台風は日本に接近したころには加速します。ジェット気流に押し流されていくのです。加速を始めるあたりでは進路を急に東寄りにとります。つまり、台風が西寄りに動いていたり、南海上でうだうだしているうちは当分大丈夫ということですが、接近してきたら速いので、行動計画はそれを考慮に入れねばなりません。情報が入るならばここからは予報を信じた方が賢明です。

台風が日本列島を横断して日本海に抜けることがあります。このときは台風が南風を引き込むため、引き続き山岳の天候は悪くなります(左図)。台風一過をねらった山行はこれに注意しましょう。なお、こんなとき日本海側の平野ではフェーン現象が起こり異常高温になっています。
ところで、実際に山で台風を経験した方は居られるでしょうか。地形によっては森林限界上の稜線直下でもたいした風が吹かないところがあります。「なんだ、大丈夫じゃないか。」ということで稜線に出たとたんに、ぴゅー…といったことにならないようにして下さいねえ。テントがつぶれる、飛ぶ、は当たり前。小屋の屋根などが飛んでくるかもしれません(最近はないですかね)。それから、雨台風の場合は帰りの交通が寸断されていることがありますから台風下の山行は度胸に加えて時間の余裕も必要です。普通はやめときましょう。
しかし、何でもかんでも中止はいけません。

「台風がうだうだしているうちはとにかく出掛けてみよう!」

情報をこまめに得られるようにし、台風の性質をよく考えて行動計画を練って下さい。うまくすれば全く影響を受けずに台風一過の空にありつけるかもしれません。

まあそれにしても、いざ、というときのために沢沿いの道は選ばない方がいいと思います。ついでにアプローチの道路にも注意できるといいですね。過去にいつ崩れたかなど、役場などで聞けばいいと思います(あ、役場はあてにならないんでしたっけ<前々回参照>)。

「沢沿いの登山道は避ける」
「よく崩れる車道のアプローチは後で泣く!」

台風は積乱雲のかたまりです。危険なのです。気をつけましょう。まあ、それはそれとして、台風一過は気持がいいので、それをねらっての山行の注意はこれです。

「通過後の台風の南に入る山域は天気が良くない」


台風加速から通過あたりは予報を信じて、ぴたりねらって行きましょう。あ、でもこれには注意!

「電車は動いているか?」
「道路は寸断されていないか?」


実際、行ったはいいけどバスが動いていなかった、ということがあったんですよ。ええ、ただ帰ってきました…。

しかし、台風で一番困るのはこれです。

「トイレに行きたくてもテントから出られない!」


次回は「秋霖」の予定です。




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