冒険からヒルネまで
思いつ紀行


自転車旅回想編
「何でこんなことしてんのかなあ…。」の巻
中学生時代に始まり、今までホントーにいろんな所を自転車で走った。初めは伊豆半島あたりに良く出掛けていたのだが、だんだん山岳地帯に目が向き、気づけばだあれも通らない林道、はたまた乗鞍岳、ついには富士山縦断(担いで登るのですよ)とエスカレート…。最近ではちょっとした山道を担いだり、北海道や信州中心に自転車をデポして山に登りながらのツーリングと、多少はおとなしくなってきた(?)ものの、周りを見れば自転車を車に積んでスマートに遊ぶ人々…それをわき目にいまだ泥臭い遊び方をしているのである。昔はMTBなんてなかった。富士山ですらロードレーサーを改造したマシンで挑んだものだ。オレはいつも思う。「何でこんなことしてんのかなあ…。」きっと答にならない理由があるのだ。だから懲りずにまた出掛けるのである。
こういうことは登山者がいない時期にするのがマナーです。自転車持ち込みは残念ながら現在では禁止だそうです。
自転車の遊びを自分では「旅」と「走り」に分類している。「走り」とは単に走るということではなくて「走りたい道を走る(「担ぎ」も入る)」ということである。「旅」の中にも「走り」が含まれるが、移動のため走りたくない道も走らざるを得ない。この両者は目的が違うのである。

さて、「旅」ははっきり言ってツライ。登山なんて比じゃない。自転車も荷物が載ると、さしずめ戦車といった趣である。山岳ルートの登りでは歩くのと同じかもっと遅い。意地で乗っているのだ。しかも雨が降ったら悲惨である。道は滑る、前は見えない。中からも外からも濡れる…夏ならば雨の中上半身裸で走ることもあるが、ここまでくるとかなり悲惨なありさまである。また、やっと駅などで雨宿りして一息ついていると、通行人が避けて通るのが良く分かる。不思議と優越感らしきものを覚えるが、半分狂っているということか?

最近は一般道は走りにくくなった。車が増えた。正確には、行ってみたいと思うところはどんな山奥であろうと観光化され、人が押し寄せるようになったということだろう。十年ぶりに訪れてびっくりしたところは多い。
記念写真的でイヤだが、やはり撮ってしまうのが人情。
摩周湖にて。

オレが高校生の頃、自転車旅は貧乏学生旅行の主流であった。夏などは少し走ればかなりの数のサイクリストに出会ったものだ。そう、当時は「サイクリスト」と言っていた。いまでは「チャリダー」。ライダーの亜種のような言われ方であり、哀しいものがある。いまでは車に積んだ自転車はよく見かけるけれども、小汚い格好で大荷物くくりつけて走っているのは殆ど見なくなってしまった。それと、今ではユースホステルは安宿の代表格だが、「サイクリスト」にとってはかなりのゼータクであった。普段は駅などで野宿だ。いざユースに泊るとなれば炊飯器を空っぽにし、ひんしゅくをかったものである。ユースの人は泊るサイクリストの数で米の量を調整せねばならなかった(実話)。
とはいえ、昔ばかり懐かしんで現在を憂えているわけではないのだ。今はライダーとなり、登山者となり、あるいは車で、とスタイルは変えているものの「旅の心」を失っていないあの頃のサイクリストに旅先でよく出会う。オレの年代は静かに燃えているのである。
左上:大門東林道(長野)、左下:五日市から入山峠への林道入口(東京)、
右:川と化した雨後の中津川林道(奥秩父)


面白そうな林道は大体が車両進入禁止。行ったからには何が待ち受けていても文句は言えず。

先にも書いたが自転車旅は計り知れない体力を要するので、正直自分もツラくなってきているのである。そこで最近では宿にはちゃんと泊るようにした。「大人の階段を一歩のぼったな」という実感がある。また、先日はついに車に積んで出掛けてみた。いやー、オイシイ所だけ乗るというのはラクですなー。やみつきになりそうです。


「人が優しくしてくれる。」自転車旅の良いところの一つである。自ずと自分も優しくなれる。そんな自分に出会うために出掛けるのかもしれない。ここ1年は「走り」中心で、大きな「旅」には出ていないが、また近いうち出掛ようと思う。



印象に残った宿

道を紹介してもなんなので、最近印象に残った宿を挙げてみようと思う。
左:乗鞍岳では突風とひょうに悩まされた。
右:一方、のほほんとした北海道のツーリング

「海の宿 みさき」
とても温かいもてなしをしてくれた。建物も改装して新しくなってきれいである。漁師さんが経営しているので食事も最高!量もすごい。ライダーも多く泊るらしい。今でも手紙をくれて、行きたい行きたいと思っているのだが、なかなか行けなくてもどかしい。野付半島の根元付近、国道244号線近く。
北海道野付郡尾岱沼(「おだいとう」と読む)岬町
(01538)6−2706/6−2345
駒ヶ根ユースホステル
管理人(ユースでは「ペアレント」という)の鈴木さん夫妻の人柄にひかれて訪れる人が多い。男女別相部屋が原則だが、ノンビリできる。夫妻はIターンでやってきたので、その話を聞きたい人も多いようである。ユースだから5000円以下で2食つく(内容もいい)。中央アルプス千畳敷ロープウェーへの起点となる好立地。
長野県駒ヶ根市赤穂25−1
(0265)83−3856




他にも北海道では「とほ民宿」といわれる宿が充実していて、なかなか良いところが多いようです。




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