八重山諸島の黒島という島にハマッている友人がいて、よく話は聞いていたのだが、石垣島へ往復するだけでも１０万円はかかる、というのが頭にあって「ヨッシャオレも行ってみっか！」とはならず数年が過ぎていた。ところが、他の用事でふらっと寄った旅行代理店で石垣へは「早割」がきくことを知り、翌日にはチケットをとってしまったのであった。宿も、行き先さえも現地調達、ビーサンとタオルだけを忘れないようにして、９月のある日、リュック一つでとりあえず石垣島に向かった。

「あんだよ？」と、挑戦的な魚。カワイイ。

JTAのスチュワーデスは可愛かった。制服も可愛かった。まあそれはいいとして、とにかく石垣島に到着し、「離島桟橋」というところに行った。周辺の島へはここが起点となるのだ。さて、どうしたものか…。どの島も魅力的だが、小手調べに最も有名な西表島に行ってみることにした。１時間後の船に乗ることにし、宿の予約をしておいた。こっちの民宿は安い！

さて、時間となったが、どの船に乗ったらいいかわからない。もたもたしているうちに時間が過ぎてしまった。乗船券売り場で聞いてみると「あ、いま出てったあれだよ。」あらら…。

「じゃあ、ちょっとまってて…」あら不思議、船が帰ってきた。無線で伝えてくれたのだ。ごめんなさい、助かりました。トビウオのように「海を飛ぶ」船で西表島へ。

西表島のジャングルへは
途中までカヌーが便利で楽しい。

西表島ではスキンダイビング（これ得意）、カヌー、ジャングル探検（ビーサンで行くなよー）、自転車散歩と４日間遊びまくった。めったに行けない鳩間島にも渡った。鳩間島の学校は印象的だった。あんな学校に通ってみたかったなあ。

ところで、ジャングルではハブが出やしないかとびくつく一方、人が通ると自ら進んで出てくるという、小動物にあるまじき行動をとるキノボリトカゲがほんとーに可愛かった。

八重山では夜になると宿に「テケテケテケ」とかなりけたたましい音が響き渡る。そんな音を出すようなものは見当たらないのに、その音源はたしかに部屋の中にあるようなのだ。１日目はなんだかわからず「うーむ、さすがはヤエヤマだ。」とわかったようなわかんないような風に納得していたのだが、２日目にその正体が分かった。怪音がするとき、よく見れば部屋の中にヤモリ君がいるにはいる。でもこんなちっちゃなヤツの声じゃあないなあ、と思ったが同室の人に聞いてみるとやはり怪音の正体はヤモリ君だった。このナキヤモリは宿の中にいっぱいいる。はじめはブキミかもしれないが、みんなすぐ慣れてしまうようだ。何といっても可愛い。ナキヤモリの声は八重山の「音」の思い出である。オレだけでなく、そういう人は多いと思うな。

波照間の海はほっといてもプライベートビーチ

西表の後は波照間島に渡った。ここは日本最南端の島。とにかくなあんにもない島。今回もっとも気に入った島だ。そう思わせたものに宿がある。「民宿たましろ」。屋外での破壊的な量の食事が有名だと後で知ったが（たしかにすごかった）、星空のもとで門外不出の泡盛「泡波」を飲み、時の流れに身を任せる…これは忘れられなくなる。そして、味のあるご主人がよかった。シャイでお客さんの目を見て話せない、というのも有名らしいが…オレが波照間を離れるときのことだ。船が桟橋を離れ見送りの人々も去り、感慨にふけっていると、だれかが別の桟橋の突端に立ち、大きくゆっくりと手を振っているのを見つけた。特徴のある風体でそれが誰かはすぐに判り、目が潤んでしまった…ご主人はそんな人なのである。

八重山諸島は石垣島・西表島・竹富島・黒島・波照間島・与那国島…島ごとに個性があり、どの島に行くか悩むところだが、駆け足でまわるのはあまりよくない。島の良さは長くいればいるほど分かってくるし、まず１日でその島の良さは分からないといっていい（こう言う自分もあまり良く分かってないのだと思う）。宿は情報交換の場でもあるので、それを参考にするのがいい。ガイドブックでは分からない情報が手に入る。八重山に限ったことではないが、ガイドブックというのはほんの一部のことしか載っていないのだ。しかし、「離島情報」というやつは安くてなかなか使える。

魚達は人を恐れず自然体です。

マスク、シュノーケル、フィンなどはレンタルがあるので、どうしても自分の！という人以外は持っていかなくて良い。それより荷物を少なくして身軽に歩き回ろう。

民宿はだいたい４５００円から５０００円くらいで２食あるいは３食つく。しかもたいてい泡盛は飲み放題である。旅費がかかったとしても、旅全体としては安くあがってしまうのだ。

ヤモリがイヤだって人、ダイジョーブ！みんな知らぬ間にヘーキになってる。本土のとはなんか違うのだ。

石垣島にはフツーの中都市程度の機能が揃っているので安心。モスバーガーだってあるぞ！わざわざ食わないケド…。ところで、石垣に行ったらせっかくだから「ルートビア」というものを飲んでみて下さい。桟橋近くのファーストフード店にあります。ウマイとかマズイとかいった次元を超えた味の飲み物であります。