冒険からヒルネまで
思いつ紀行


三宅島編
「近くて遠い島とヒコーキ」の巻
「出来合いの旅はいかんね、旅とゆーのは「何でそんなことを?」という中から何かを発見していくものなのだよ!」などとわめいているわりには、黒部や穂高が好きで、長期間ということになると北海道や西表島などに行ってしまうので、どうも最近知人や塾生の目が冷たい気がしていたのだ。で、ふと思いついたのが伊豆諸島への旅であった。そのときはっと思いましたね、近くて遠いとはまさにこのこと。この言い回しは大体において人と人との関係であるかもしれないが、それ以外でもナルホドと思うものは多い。たとえば東京に住むオレは東京タワーに登ったことがない(ごくフツーの意味です、念のため)、雷おこしは食ったことがない等である。きっとこの先も登らないし、食わないであろう。つまり、いまこの機会を逃すと一生伊豆諸島に行かないのではないか、そうなのだ、いまこそ行くべきなのだ!と自分で盛り上げつつも、でもなあ、東京都だしなあ、ヤッパヨナグニとかの方がいいよなあ、とかなんとかはじめは完全に乗り気というわけではなかったのだが、さて…。
三宅の浜は黒砂

4月では潜るには寒そうなので、山にも登れる島ということで三宅島を選んだ。昔テレビで見たド迫力の噴火の光景が蘇ってきたが、あれ?、山には登れるんだろうか、と、何の下調べも無く出掛けていくのであった。 船でもそんなに時間はかからないのだが飛行機にした。チケットは当日でも楽に取れた。搭乗口は羽田の最果てのどことなくウスラ寂しい一角にあり、飛行機まではバス送迎である。時期外れなのか、客とおぼしき人々は観光という風でもなく、どんよりした空気を漂わせている。
溶岩は海まで来ている
バスに詰め込まれていくと、飛行機が並んでいるのが見えてきたが、一機だけポツンと小さいのがある。それが見えた瞬間バス内の空気が「さっ」と変化した。(お、なんだ、なんだ)雑談も消えた。審判の下る瞬間を息を呑んでただ待つバス一行。緊張感と奇妙な一体感の中、はたしてバスはそのYS11に向かうべくすばやく左折した。
「はあー」「やっぱり」
車内ではつい声に出してしまっているものもいたが、それは絶望の吐息というわけではなく、明るささえ感じられた。それはそうで、三宅便がプロペラだということはみんなあらかじめ知っているのだ。宝くじの当選発表のような「もしや」のスリルを即興で楽しんでみただけなのであった。オレは旅の中のこんな一幕が好きだ。

向こうに見えるはひょうたん山

三宅島について

三宅島の雄山は噴火口、カルデラ、湿地などなかなか雄大。いい風景が楽しめるし、特産種の花が多い。実際見たことのない花が多かった。道は荒れているが山慣れた人なら、外輪山の縦走(?)コースが良い。最高点もこの上にあり、ウラシマソウの群落(4月)が多い。途中まで車で行けば楽だが、林道には鳥など多く、のんびり歩いた方がいい。

三宅島は何と言っても鳥の島、珍しい(はず)のアカコッコがうじゃうじゃいる。他にもいろいろ。また、ビジターセンター「アカコッコ館」はスタッフが親切で、内容も充実している。ゼッタイ寄ってみた方がいい。

自転車で一周してみたが、距離はないものの激しいアップダウンで、かなり楽しめる(?)。

気候は温暖な島ではないが、黒潮の関係で、サンゴもあり熱帯の魚もいる。「ひょうたん池(といっても海の一部)」というところで手軽にシュノーケリングができるが、沖縄のようにマスクなどのレンタルは当たり前でない。自分で持って行く。他の場所は上級ダイバー向き。

宿は民宿がだいたい7000円前後から。イセエビ一本ついたりする。




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